家庭科の時間。


男子もミシンを使わされるこの学校は、


女子がリードして行っている。


あたしも、同じ班の男子に教えていた。


「南!ソコ違うってば!」


「え!?マジで?宮坂のみせて!!」


「うん。ほら!普通はこうなるの!」


あたしの班の裁縫が苦手すぎる南。


あたしも疲れてしまう。


でも、普段やさしくて感謝してるから。


あたしは恩返しのつもりだった。


「お!南あってるよ!オッケイ。」


「よ・・・よかった。居残りセーフ!」


安心したように喜んでいた。


あたしも嬉しくなる。


そして、あの記憶もよみがえる。





過去の話。


あたしは南と付き合っていた。


大好きでずっと大好きで・・・・


でも告白できなかったあたしに告白してくれた。


「付き合ってくれる?」


あたしはその言葉に素直に答えられなかった。


「ダメならいいから!」


照れて、涙目になっていう南。


本気さが伝わってきた。


「・・・・ううん。好き。」


こうして、付き合い始めたあたし達。


当時冬で、寒かったけれど、


その寒さに負けないくらい温かい恋をしていた。


とてもとても幸せだった。


だったのに・・・・・


「葵・・・。南がね、葵が本気になっているのが面白いって言ってたの。」


「え・・・?」


絶望した。


もう、信じられなくて。


悲しすぎて涙も出なかった。


「それ本当だよね?じゃあ、あたしもう別れる。」


心の中では「南の嘘」って思いたかった。


冗談なんだって思いたかった。


でもあたしは弱くて、信じられなかった。


それからあたしからは別れを告げず、


南に呼び出され、フラれた。








大好きな人に裏切られ、



もう恋なんてしない。


って思ってときに現れ、


あたしの心をさらい、


南を忘れさせてくれたのが・・・・海翔だから。