愛の手


屋敷を出てしばらく走った。


靴は履いてない。

音をたてて、バレたらマズイもん。


汗がにじんで傷口にしみる。

イタイけど、そんなこといってる暇はない。


一刻もはやく、両親のところへ――…

あたしは無我夢中で足を進めた。



しばらく走ると、ようやく見知った道に出た。

なんだ……家までもうちょっとじゃん。


知ってる道に出ると、あたしも少しだけ安心した。

逃げなきゃっていう急ぎ足から、はやく帰りたいって気持ちに変わった。



あの角。

赤いポストのある角を曲がればそこは――…