"呼ぶわ"…なんて発した後は、一体何が起こるのかと思っていたけど、説教どころかお咎めナシに自分の部屋へ帰された。



とりあえず、1番悪かった英語から復習しよう。


「……I'm don't know(私は知りません)」

中学の英語の時間、先生に当てられたら、コレ言っとけば見逃されたんだよね。

「甘かったなぁ中学は」


なんて現実逃避を始めた頃、背後から扉をノックする音が聞こえた。

「はいぃっ!!!」

お母さんかと思い反射的に姿勢を正し、意味も分かっていない教科書の英文を、ただひたすらに高速でノートに写し始める。


「マナ〜何マジメに勉強なんかしてんのぉ?余計キモいよ」

「なんだ、絵里か……お姉ちゃんは温厚だから、妹の戯言にキレたりしないわ…うふふ」


私と違って、可愛い妹の絵里。

甘いチョコレート色のゆる巻きヘアーに、ブルーのカラコンを大きな目に入れた姿は、ドレスを着せればお人形のようだろう。

本人も自分が可愛いと自覚している分、逆に開き直って許せる私がいる。


ちなみに3歳も年下なんだけど…。

「どうでもいいけどさぁ、カテキョ来るって本当?」

「カテキョ?…あ、家庭教師ね」

「そうよ、バカ?ってかどうなのよ??」


バカって…別に言わなくてもよくない?


…って…家庭教師??