ようやく椅子に座った歩は、キリッと睨むようにあたしに目を向ける。 「てか、なんで今まで言わなかったの?」 「……………」 あたしは何も答えない。 「諒にも、話してない?」 コクリと頷くと、 「もう、この子は…」 と言いながら、穏やかな瞳で優しく頭をなでてくれた。 心配、してくれてるんだなあ。 こんなあたしにも心配してくれる人がいる。 そう思うと、心があったかくなった。 歩に話して良かった。 そう、心から思えた。