君の瞳に映る色

後ろから口を手で塞がれ
がっちりと手足を押さえられた
棗は身動きが取れずにいた。
薄暗い階段の陰に抑え込まれ
目だけを左右に動かしてみるが
相手を視界に捉えることが
できない。

息苦しさで
頭がくらくらしてくる。

不意にふわりと身体が宙に浮く
感じがして棗は目を見張った。
抱えられた状態で階段を上る。

後ろから口と手を
押さえこんでいる者は
見えなかったが
足を抱えているのは
がっしりとした背の高い男だ。
短く刈り込まれた黒い髪の毛に
浅黒い肌の色、
制服を着ていなければ
学生には見えない体格だった。

怖い、怖い、怖い。

棗は必死に叫ぼうとするが、
塞がれた手によって
吸収されていく。

特別教室が多い4階の廊下には
ひと気はない。
絶望感に棗の瞳から涙が零れた。

男たちは1番奥の教室の前で
止まる。

前の男は棗の足を抱えたまま
ドアをノックした。

「会長、つれてきました」

その言葉に棗は目を丸くした。
心臓の音がうるさいくらいに
頭に響いてくる。
昨日の恐怖が頭を過ぎる。

それでも抵抗することも
できないまま棗は生徒会室へと
連れ込まれた。