君の瞳に映る色

祖父の手の温もりに
棗は切ない気持になった。
祖父は自分のことを
可哀相な子だと
思っているに違いない。

暁生と似た不思議な能力が
棗に遺伝したことで
暁生を嫌う菖蒲は
棗にも辛く当たっているのを
暁生は気づいていた。

色を見る力は棗を苦しめたが
それを祖父のせいだと
思ったことは一度もない。

もっと自由にしてもいいと
暁生に言われたことがあったが
自由という意味が
よくわからなった。

自分の生活を
不自由だと感じたことはない。

父はいつも見て見ぬふりで
棗が母に
どんなひどいことを言われても
助けに入ってはこなかった。

小さい頃はそれが辛くて
よく泣いた。
父は自分のことが
嫌いなんだとその度に思った。

だが父はただ無関心なだけで
家族に興味はないのだ。
屋敷に帰ることはほとんどなく
世界各地の支社を行ったり来たり
しているようだった。

母は本当に厳しくて
よく叩かれた。

西園寺家の娘に
相応しい女性になれと
そればかり言われた。