自分と違って
すらっと伸びた身体に
長い黒髪がよく似合っていた。

まっすぐの綺麗な髪に
切れ長の瞳。

睨まれても不思議と
怖い感じはしなかった。
芯の通った意志の強い
女性に見えた。

無表情の横顔は
なにを考えているのか
わからないが、
どこか寂しげな雰囲気が
漂っているように思える。

「…じゃ、わたしもまだ誰にも
言ってないヒミツを教えますよ」

そういって棗の耳元に
瑠璃は顔を寄せてくる。

「わたし、Aクラスの樋野くんが
好きなんです」

棗は怪訝な顔をして瑠璃を見る。

それのどこがヒミツなの、
と聞いた。

「まだ誰にも言ってないから
重要機密ですよ?
誰にも言わないで下さいね!」

そう言って瑠璃は
はにかんだ笑顔を見せた。