君の瞳に映る色



菖蒲が手配したようで、
部屋の家具など棗の荷物は全て
東條家から戻ってきていた。

何事もなかったかのように
家具の配置された自分の部屋に
少しだけ違和感を覚える。

棗の脳裏に玲の部屋が浮かんだ。

始めは狭く感じた玲の部屋で
ほんの数日過ごしただけなのに
自分の部屋がやたら広く感じる。

一人きりの広すぎる部屋。

溜め息を吐いてベッドに
寝転がった。




菖蒲が会社で倒れたと連絡が
入ったのは
夜になってからだった。

ただの過労からくるものだと、
家に呼んだ医者は
栄養剤を打って帰って行った。