君の瞳に映る色



スライドしたドアの隙間から
暁生が顔を出す。

「そろそろ邪魔していいかい?」

「棗ちゃ~んっ!玲!」

祖父の後ろから聞き覚えのある
声がする。

暁生と共に病室に入ってきたのは
絢だった。

いきなり抱きつかれて棗は
目を瞬かせる。
玲と同じ癖のある髪が眼前で
揺れた。

「大丈夫だった?ごめんね、
あたしのせいで」

顔を覗きこまれ戸惑う棗を
玲の腕が引っ張った。

「だから、触るなっ」

「心配かけて、このバカ弟!」

叩かれて玲は頭を押さえる。
一気に場が和んで暁生は
苦笑いした。

玲は大事をとってもう一日
入院することになり、
棗は家に戻ることになった。