君の瞳に映る色



それでもそこから近付く勇気が
出ずに玲の顔を見つめていると
不意に玲の瞳が開いた。

思わず身体を引こうとした
棗の肩を玲が掴む。

「………時間切れ」

玲の両手が頬を挟むのと同時に
玲の唇が自分のそれに重なる。

「…ぁ…誰か…、んっ…来る」

玲の色とは違う誰かの色を
微かに感じ取る。

それでも玲は身体を離さない。

「ダメ。もっと」

深く蕩けるようなキスは
微かに感じる色をぼかしていく。

このままで、そんな気持ちが
頭を占領する。

身体を寄せていると
ノックの音が聞こえて
棗は慌てて身体を離した。