君の瞳に映る色



フッと笑って玲は首に
巻かれた包帯に手をかける。

軽く引くと簡単に解けたそれは
床にはらりと落ちた。
首筋にはくっきりと残った
赤い痕が見える。

指で痕をなどりながら
まぁ、吸う気はなかったけど、
と小さく笑う。


「本気で好きになった女の
血は吸えない」


玲を見ると、玲もじっと
自分を見つめていた。

「…ホントに?本気で好きなの?
わたしのこと」

「本気にさせたくせに」

「ど、どこで?」

思わず呟くと言葉と同時に玲が
棗の身体を引き寄せる。

「…全部」

「何よ、それ…」

玲らしいセリフに呆れながらも
思わず笑ってしまった。