君の瞳に映る色



不自然な体勢が苦しくて、
身体を離そうとしたら頭の後ろに
添えられた手に力が入り
それを許してもらえない。

息苦しくなるくらい
深くなっていくキスに
思考能力が奪われていく。

ようやく開放されると、
ベッドに身体を半分乗せた状態で
玲に身体を
きつく抱き締められた。


伏せた睫毛を上げると
間近にある玲の瞳に見つめられて
顔が熱を帯びる。


玲の半身は腕や肩から胸にかけて
包帯に覆われていて
痛々しい状態になっていた。

熱い玲の胸に顔を埋めながら
棗はそっと包帯に触れる。


頭から消えないあの光景。

思い出すとまた涙が出た。


「なぜ…血を吸わなかったの?」

問いかけてみるものの
返事がない。

玲を見上げると驚いたように
目を丸くしていた。