ベッドに近付くと小さな寝息が
聞こえてくる。
癖のあるブラウンの髪が
横を向いた顔にかかっていた。
髪を指で退かすように
そっと触れる。
そうして確かめるように掌で
頬を撫でた。
急速に目の前の玲の顔が
涙で滲む。
掌から伝わる確かな温もりが
胸を締め付ける。
片方の手で口元を覆うと
伝った雫が指先を濡らした。
あの、瞬間。
目の前が真っ暗になった。
耳を貫く銃声と
倒れていく玲の姿。
コマ送りのように刻まれて
全身から血の気が引いた。
あの時の恐怖を思い出したように
身体が震えだす。
メニュー