君の瞳に映る色



ちょうど扉の前に立っていた
暁生は自動で開いた扉に
目を丸くした。

「あ、ボス!」

「おじい様」

同時に言葉を発して2人は
顔を見合わせる。

そうして戻ってきた2人の視線に
暁生はよくわからずに
とりあえず笑顔を作った。




棗と暁生を乗せた車が郊外を
走っていく。

静かなエンジン音が微かに響く
車内で、棗は足を組んで
不機嫌そうに流れていく景色を
眺めていた。

「どういうこと?おじい様」

「…まぁ、ボスっていうのは
成り行き上でね、資金を
援助してたら頼まれたんだ」

「…柊は知ってたの?」

助手席に座る執事に
声を掛けると、柔らかい笑いを
含んだ声が返ってくる。

「秘書でしたからねぇ」

棗は軽く溜め息を吐いた。