「君も散々だね、薬を
飲まされたりしてさ。
アレはひどい副作用があるから。
身体が重いのはそのせいだよ」
棗が弾かれたように
身体を起こす。
トモキは目を丸くしながら、
「…なに?」と呟く。
「わたし、
ヴァンパイアになったんだわ」
トモキはしばらく固まっていたが
やがてぷっと吹き出した。
いきなりなに、と片眉を下げる。
棗が首に手を当てると、手首と
同じように包帯が巻いてあった。
「薬を飲んで血を吸われたら
ヴァンパイアになるんでしょ?」
確かにそうだけど…、と
答えながらも、トモキは笑いを
堪えている様子だ。
なに?と棗は鋭い眼差しを
向けた。
「ひょっとして、血を
吸われたと思ってる?」
「だって、玲に血をあげたわ」
噛み合わない会話のまま
2人の視線が交差する。
棗は包帯の上から
玲が触れた部分を撫でた。



