君の瞳に映る色


トモキの話によると、


彼らは特殊な力を持つ
ヴァンパイアが暴走しないように
見張る役割を持っていた。

人間をむやみに襲わないように、
秩序を持って暮らすように。

国が裏で運営する特殊な機関
という事だった。


「東條櫂斗はさ、ずっと目を
つけてたんだけど、純血種な上に
バックにあの大企業だろ。
簡単に手が出せなかったんだよ」

トモキが肩を竦める。

「一色さんが東條家に
出入りしてるって噂を聞いたから
近くで張ってたんだ。
で、銃声がして踏み込んだ、
ってわけ。一色さんが金で
雇われたことも暴露してるし
東條櫂斗ももう終わりだな」

事も無げに笑って話す
トモキを見ながら、心から
晴々しい気分にならないのを
棗は感じた。

「櫂斗さんはどうなるの?」

「さぁ?ヴァンパイアの規則は
よく知らないけど、力の剥奪とか
一族から追放とかになるんじゃ
ないかなぁ」

トモキが腕を組んで首を捻る。
剥奪、追放、重い言葉の響きに
棗は目を伏せた。