近くで見ると男は同年代か少し
上くらいの若い雰囲気だった。
「彼は重傷だったから、オレらの
病院で手術を受けてるよ」
「手術…無事なの?」
「命に別状はないみたいだよ。
フツーの病院じゃ、
彼はマズいからね」
片目を瞑ってみせる目の前の男に
棗は怪訝な表情を向けた。
「…あなた、何者?」
棗の質問に、あぁと
ポケットをまさぐる。
差し出された紙切れに棗は
視線を落とした。
「国家安全対策部
地域巡査 神城(カミシロ)トモキ。
通称ハンターって言われてる」
さらに棗の表情は険しくなる。
「あの男の仲間なの?」
「あ、勘違いしないでよ!」
トモキは両手を顔の前で振る。
「一色さんみたいに無差別に
ヴァンパイアを狩ったりは
絶対にしない。むしろ逆だよ」
逆?と首を傾げながら棗は
トモキの言葉の続きを待った。
少し棗の表情が和らいだ事に
トモキは安堵しながら
話し始める。
「俺らはさ…」



