君の瞳に映る色



独特の消毒薬の匂い。

目を開けると
真っ白な天井が見えた。

「目が覚めましたか?」

聞き覚えのある声に混濁した
意識が戻ってくる。

顔を傾けると見知った
執事の顔があった。

掠れた声で名前を呼ぶと
覗き込む心配そうな顔に
笑顔が浮かぶ。

「…玲、は?」

棗の言葉に柊は首を傾げた。

不思議そうに、
どなたです?と聞いてくる。
少し考えて
「わたしはどうやってここに?」
と聞いた。

「東條家の屋敷で倒れて
運ばれたと病院から連絡が
あったのです。つい先程まで
奥様もおられたんですよ」

「お母様が?」

目を伏せてしまう棗に、
「お仕事でトラブルが
あったらしく戻られましたが、
心配しておられましたよ」と
柊は柔らかい口調で話す。

「…合わす顔がないわ」

棗は両手で顔を覆う。

視界の端に、手首に巻かれた
白い包帯が映った。