痺れて力の入らない手をそっと
玲の背中に回す。
玲の体温に自然と涙が零れた。
「いつだって助けてやるよ。
…俺がそうしたいから」
玲が少し身体を離す。
棗が見上げると紅茶色の瞳が
細くなる。
絡み合う視線が近づいて、
そっと唇を重ねた。
その感触に思わず状況を
忘れてしまいそうになる。
ただ触れ合うだけの唇が
離れてしまうと
切ない気持ちが込み上げた。
棗の気持ちを察したのか
玲が棗の頭を撫でる。
「続きは帰ってからな」
睨みながらも顔が熱くなるのが
わかる。
逃げるぞ、と玲が歩き始めたので
棗は玲の腕を自分の肩に回して
体重を支えて歩いた。



