銃口がこちらを向く。
ドンドンと続けざまに音がして
派手にシャンデリアのガラスを
破壊した。
降り注いでくる細かい破片に
傍にいた女が身体を庇う。
小さい悲鳴に玲は無意識に
視線をやった。
その刹那に一色の指が
引き金を引く。
身体に受けた衝撃で
バランスを崩した玲は、
2階へ続くアーチを描いた
階段の中腹へと落ちた。
「ぐっ!!」
身体を打ちつけて息が詰まった。
弾丸が掠めた肩に血が滲む。
痛みを堪えてすぐに身体を
起こすと木の手すり越しに
一色と目があった。
一色は破片を避けようともせずに
その場にまっすぐ立っている。
「へへ、なぶり甲斐のある奴だ」
一色の浮かべる薄笑いに
吐き気を覚える。
一色が次に動き出す瞬間を
計りながら玲は息を潜めた。