振り返った男は不敵な笑みを
浮かべて、獲物の登場だ、と
言った。
玲は思わず身構える。
ヴァンパイアの気配を感じない、
男は人間だ。
絢の言っていた通りなら、
この男がハンターの一色に
違いない。
ハンターはうわさに聞く程度で
実際に出会ったことはなかった。
一色が胸から取り出した物に
玲は慌てて地面を蹴った。
広いエントランスに
乾いた音が響く。
弾丸をうまくかわして
玲はシャンデリアに飛び移った。
吊るす太い鎖がガシャンと
音を立てる。
ガラスの飾りが反動で揺れた。
「飛び道具かよっ!」
引き攣った笑いを浮かべながら
玲は独り呟く。
真上に来た玲をギラギラした
一色の目がゆっくりと見上げる。
楽しんでいるような男の様子に
玲は歯ぎしりした。