チャイムの音で玄関を開けると、
外に意外な顔を絢は見つけた。
「…玲、どうしたの?」
呼びかけても弟は虚ろな
反応しか見せず、
家の中へ入ってくる。
玲はおもむろに冷蔵庫の
元へ行くと、中からジュースを
取り出して飲んだ。
玲の家にも置いてある紙パックの
ジュースを飲みほすと、
溜め息を吐く。
その様子を顔をしかめて絢は
見ながら「いきなりなんなのよ」
と、当然のセリフを口にした。
「あ、玲ちゃんだぁ」
部屋にいた娘達が音を聞いて
リビングへ出てくる。
せっかく寝かしつけていたのに、
と、さらに絢は顔をしかめた。
しかし同時に弟のいつもと違う
様子に心配になる。



