シンクの上に赤い染みが広がる。
「何してんだ…」
リビングにいた玲が慌てて
走ってきた。
シンクに再び血の滴が
落ちかけた時、玲は棗の指を
口に含んだ。
「きゃ!!」
生温かい口腔の感触に
背筋が震える。
舌がゆっくりと指をなぞった。
鈍い痛みと甘い痺れが
全身を支配していく。
指を咥えたまま伏せた瞳を
開けた玲を見て棗は「あ!」と
声を発した。
紅茶色の瞳が赤く染まっている。
久々に見る玲の
ヴァンパイアの瞳。
深紅の狙うような瞳がぐんと
近づいてくる。
制止する隙もなく、その瞳に
見据えられたまま唇を奪われた。



