急な棗の行動に玲はびっくりして 目を丸くする。 遠くに人影を見たような 気もしたが、その影はすぐに 周りの雑踏に紛れてしまった。 肌が粟立つ。 鼓動が強く打ち付ける。 渇いた喉がゴクリと音を立てた。 呆然と一点を見つめる棗に 玲は眉を寄せる。 「…どうかした?」 玲の声がやけに遠くで聞こえた。 見えた色の気配は前に スーパーで見た気配だった。 一瞬だったが色が今度は はっきりと見えた。 はっきりと棗の中に映った色は 強い殺意の色だった。