黒く輝く宝石の連なった
ネックレスの先端には、
シルバーの十字架が
鈍い光を放っている。
漆黒の、他を寄せつけない色。
玲の色のようだと思いながら
眺めていると、「欲しいの?」と
玲が聞いてきた。
思いもよらぬ言葉に顔を上げると
玲が笑って自分を見ている。
そういうつもりではなかったので
慌てて玲を制したが、
玲はネックレスを手に取ると
レジへと持っていった。
しばらくして、ラッピングに
包まれた小箱を棗に手渡す。
「開けて、つけてやるよ」
言われたとおりに棗は
小箱を開けた。
しゃらんと石のぶつかる
音がする。
「ヴァンパイアに十字架を
もらうなんて変な感じね」
棗の言葉に玲は口の端だけで
笑った。
玲がうまく髪の毛を避けて
首に手を回す。
近くなる玲との距離に鼓動は
だんだん早くなる。
胸元にヒヤリと
冷たい石の感触を感じた。
「よく似合う」
すぐ上から玲の声がして
振り仰ぐと
間近に玲の顔があった。



