鳴り出した電話に、
暁生と部屋にいた小柄な男は
会話を止めた。
小さな書斎に響く電子音に
暁生は受話器を上げた。
「あぁ、わたしだ。どうした?」
話し始めた暁生に、小柄な男は
少し姿勢を寛げる。
まだ、幼さの残る顔つきが
小柄な体格も手伝ってさらに
彼を幼く見せていた。
西園寺グループ会長の屋敷に
あまり似つかわしくない青年は
グルリと書斎を見回す。
「居所がわかりそうなのか?」
会話の内容に椅子に座っている
暁生へと視線を戻す。
どうやら先程まで話していた
行方不明のお嬢様情報のようだ。
「菖蒲には?
…あぁ、それもそうだな。
菖蒲はどうしてる?」
この依頼ももう解決か?
そう思いながら青年は
軽く伸びをした。
「…東條だと?いや、初耳だ。
…何か分かったら連絡をくれ」
聞き覚えのある名前を耳にして
青年は驚いたように
身体の動きを止めた。



