君の瞳に映る色


「玲」

初めて口にする名前なのに、
ずっと前から呼んでいたような
不思議な気分がする。

声と吐息が混じり合っていく。
自然と玲の背中に手を回した。

熱いのは自分なのか玲なのか
もうわからない。


玲の手が服の中に差し入れられて
棗は身体を固くした。

逃げそうになる棗の身体を空いた
もう片方の手で玲は押さえる。

捲れた服から露わになった肌に
玲は唇を這わせた。

「ちょ、ちょっと!」

這い上がる唇を止めようとすると
玲が笑いを浮かべて顔を上げる。

「何?」

何も答えられない棗を
目の端で見ながら玲は止めていた
唇をまた動かす。


玲の指に、唇にいちいち
反応してしまうのが恥ずかしくて
棗は自分の口を手で覆った。

「…あっ」

玲が棗の手首を掴む。