次に言う言葉を探していると、 柊が、瑠璃の名前を呼んだ。 『無理やりに連れ戻すことは 決してしません。 ただ私も執事としてお嬢様の 居場所は把握しておく必要が あります』 穏やかに、でもはっきりとした 口調で言われて瑠璃はすぐに 言う言葉が見当たらなかった。 『詳しい場所を 聞かせていただけませんか』 黙っている瑠璃に、 柊が重ねて言う。 それでもすぐに 言うことはできなかった。 『瑠璃さん』 目を伏せて瑠璃は俯く。 やがて、「場所は…」と 掠れた声で呟いた。