再びベッドの上の玲に歩み寄ると、
声を掛ける。
「ねぇ、わたしちょっと買い物に
行ってくるから。
何か欲しいものある?」
目を伏せていた玲が
ゆっくりとした動作で棗を見る。
「何か欲しいものある?」
もう一度聞いて覗き込むと、
掠れた声で玲が何か呟くのが
聞こえた。
「………ン」
「え?」
「………プリン」
その言葉に吹き出しそうになって
棗は唇を軽く噛んだ。
「わかった」と言って、乱れた
布団をきちんと玲に掛ける。
カーディガンを羽織って、
まだ朝の早い時間、財布を片手に
棗は家を飛び出した。



