柔らかい癖のある髪が掛かった
顔が呼吸に合わせて微かに動く。
「まつげ、長いんだ…」
顔を寄せた事は何度もあるのに、
特に今までこの人の顔に
興味はなかった。
じっくり見ている余裕も
なかったのだが。
改めて見ながら、またなぜか
触ってみたい衝動に駆られる。
棗はその鼻筋の高さを
確かめるように鼻のラインを
指で軽くなぞった。
玲が吐息のような声を漏らして
眉を寄せる。
思わずその様子に棗は
笑ってしまった。
起きる気配がないので、昼間と
同じように掌で頬を包んだ。
自分のしている事に驚きつつも、
手は止まらない。
感触を楽しむように熱い頬を
撫で、柔らかい髪に触れる。
髪はまだ少し濡れて
しっとりしていた。
風邪を引かないだろうか、
頭の片隅でそんな事を考える。



