適当に2人で歩きながら、
夕食の食材を物色する。
そして鮮魚コーナーにきた時
棗は思わず玲にしがみついた。
「いや!そんなの触れない」
目を伏せて顔を背ける棗に
玲は苦笑いした。
どんだけお嬢様なんだよ、と
呆れた口調で返す。
確かにそうだと自分でも思うが
調理されたもの以外を見るのは
初めての棗にとっては
生魚はとてもグロテスクなものに
見える。
氷の上に並べられた魚たちは
ヌルヌルと鈍い光を放ち
目玉が不気味でしょうがない。
「だめ、気持ち悪い」
渋い顔をして棗は顔を背ける。
玲はため息をつきながら
ハイハイ、と返事をした。
じゃ切り身にする?と
聞くと棗は弱々しく首を振った。
「…吐きそう」
驚いて棗を覗きこむと、
顔色が良くない。
かごを下ろして棗を
抱き寄せた。
支えるようにして玲はトイレへと
急いだ。



