2人でプリンを食べながら
話をする。

玲の話によると基本的には
純血種のヴァンパイアでも血を
吸わずに生きていけるらしい。

純血種のヴァンパイアは力が
強い代わりに苦手なものが多い。
太陽や、十字架そして個々に違う
弱点を持っている。

混血種のヴァンパイアは逆に
力はそんなに強くないが
苦手なものが少ないのだと言う。

棗からすれば玲は十分に力を
持っているように感じた。


甘いプリンを口に運びながら
そう言えば今日は何も
食べていないことを思い出した。

あまりに色んなことがありすぎて
無意識に溜め息を吐く。

何だよ、と玲が苦笑いする。

「この先どうなるのかと思って」

自嘲するように棗は目を伏せて
笑う。

取り返しのつかないことを
してしまったという思いと、
今ならまだ戻れるのではないかと
いう思いがグルグルと交錯する。
戻ったところで気持ちが
ついていくかは別の問題だった。

ポケットの中の婚約指輪に
そっと服の上から触れる。

指輪を櫂斗に返したい。
櫂斗とやっていける気が
どうしてもしない。

ただ、婚約を破棄すれば
西園寺はどうなるのだろう。
もともと愛のない結婚なのは
わかっていた。

家のために、母の為に必死に
頑張ってきたのに。