君の瞳に映る色

「弱点てヴァンパイアの弱点?」

絢は思わず声を大にして聞いた。

弱点はヴァンパイアにとって
非常に重要な意味を持つ。
弱点に遭遇すればどんな
ヴァンパイアも仮死に近い
状態になってしまう。

「あの子も意外とマヌケね~。
本能的にあたし達は弱点と
遭遇しそうな時には気付くのに。
よっぽどその時、何かに
夢中だったのかもね~」

雨の日、雷の音、薄暗い
生徒会室に玲の腕の温もり。

頭にあの日の光景が
フラッシュバックして棗は
絢から視線を逸らした。

「あ、赤くなった、あやし~」

やっぱり何かあるの?と絢は
棗の鼻を指で突付いた。
絢のペースに完璧に巻き込まれて
棗は絢にどう返していいのか
わからずに困り果てた。

玲なら手の一つも
叩いてやるのに。

癪だが早く戻ってきて欲しいと
バスルームの方へ視線を
やったとき、
部屋のインターホンがなった。

ここを誰かが知るはずも
ないのだが、
無意識に身体が硬くなる。


絢が出ると外には男が
立っていた。


「…しゅん」

「やっぱりここだったか」

どうやら絢の夫らしい男性は
大きく溜め息を吐いた。

不意に中を覗いた俊と視線が合い
棗は軽く頭を下げる。