棗の様子に絢はまた声を立てて
笑った。
「アハハ!かわいい~」
引き攣った顔で玲は絢を睨む。
しかし言葉も出ずにただ深い
溜め息を吐いた。
「…ったく。ついでに風呂
入ってくるからその間だけ
こいつの相手しとけ」
弟の睨みなど特に怖くもない絢は
ハイハイ、と手を振って
返事をする。
玲が自分の方に近付くと棗は
顔を手で覆ったまま身体ごと
背けた。
「は、入るなら早く
入ってきなさいよ!」
「お嬢様の後ろの引き出しに
着替えがあるの」
狭い部屋の中、棗のすぐそばで
玲は引き出しから着替えを
取り出す。
固まったままの棗につい
からかいたい気分が湧いた。
顔を近づけて低く囁く。
「後でイヤって言うほど
見せてやるよ」
飛び跳ねるように棗は後ろに
身体をずらした。
音を立ててテーブルの上の
カップが倒れる。
「玲ったら…」
絢は呆れて台所に
布巾を取りに走った。
玲は笑いながらバスルームへと
向かう。
心臓がバカみたいに音を立てて
鳴っている。
赤い顔で固まったままの棗の
身体にティアラが甘えて
擦り寄っていた。
笑った。
「アハハ!かわいい~」
引き攣った顔で玲は絢を睨む。
しかし言葉も出ずにただ深い
溜め息を吐いた。
「…ったく。ついでに風呂
入ってくるからその間だけ
こいつの相手しとけ」
弟の睨みなど特に怖くもない絢は
ハイハイ、と手を振って
返事をする。
玲が自分の方に近付くと棗は
顔を手で覆ったまま身体ごと
背けた。
「は、入るなら早く
入ってきなさいよ!」
「お嬢様の後ろの引き出しに
着替えがあるの」
狭い部屋の中、棗のすぐそばで
玲は引き出しから着替えを
取り出す。
固まったままの棗につい
からかいたい気分が湧いた。
顔を近づけて低く囁く。
「後でイヤって言うほど
見せてやるよ」
飛び跳ねるように棗は後ろに
身体をずらした。
音を立ててテーブルの上の
カップが倒れる。
「玲ったら…」
絢は呆れて台所に
布巾を取りに走った。
玲は笑いながらバスルームへと
向かう。
心臓がバカみたいに音を立てて
鳴っている。
赤い顔で固まったままの棗の
身体にティアラが甘えて
擦り寄っていた。



