君の瞳に映る色

突然のことに言葉に詰まると、
何か言う前に、ダーメ!と
玲が話を切った。

「大体お前のケンカは
俊が勝手にプリン食ったとか
頼んでたドラマの録画を
忘れたとかくだらねーこと
ばっかりだろ!」

言いながら玲は席を立つ。

「とにかく今日は帰れ、
はっきり言ってジャマだ」

言い捨てて玲はバスルームの
方へと姿を消した。
絢はそちらに向かって
しかめっ面で舌を出す。

「マジで、かわいくな~い」

独り言のように呟く絢に小声で
帰るんですか?と棗は聞いた。

いてほしい?と絢に笑顔で聞かれ
思わず棗は真剣に頷いた。

棗の真面目な表情に絢は
ついつい笑ってしまう。
もちろん帰る気もないのだが。

「棗ちゃんて、」

言い掛けたところでバスルームの
方から叫び声がした。

「絢ー!!シャワー使ったら
蛇口戻せよ!!!」

ドアの向こうからの声に、
忘れてた、と呑気に絢が笑う。

ドアが勢い良く開くと
びしょ濡れの玲が上半身裸で
出てきた。

「きゃぁ!」

棗は慌てて顔を両手で覆う。