君の瞳に映る色

「何よ、一回入れば同じでしょ?
てゆーか8割がた来た時には
散らかってたから」

似たような会話を玲としたことを
思い出して棗は1人で笑った。

髪が濡れているので
わかりにくかったが癖のある
ブラウンの髪、紅茶色の瞳、
女性は玲に似ているのだ。

視線を感じたのか絢が棗を
振り返る。

「上がって?汚い部屋だけど」

絢の言葉に、俺の部屋だぞ、と
玲が部屋の奥から返してくる。

ワンルームのその部屋は
棗の部屋よりぐんと狭く家具が
密集しているように感じた。

入り口のすぐ側が台所、奥に
ベッドやテーブル、テレビなどが
置いてある。

中に入ると玲から香るあの甘い
匂いがした。


所在なく立ち尽くしていると
絢が覗きこんできた。

「美人さんね、キレーな髪」

手を伸ばす絢から遠ざけるように
玲が棗の肩を自分の方に
引き寄せた。

「触るな。てゆーか、それより
服を早く着ろ」

「なによぅ自分のモノみたいに」

ムッとした表情で絢は
ベッドの上に散らかった服に
着替え始める。

俺のだもん、と玲が呟いたので
思わず、違うでしょ!と叫んだ。