掴まれた肩に力がこもるのを
感じながら玲が早く
通り過ぎることを棗は願った。
ピリピリした空気が息苦しい。
重い沈黙を破ったのは
樋野だった。
高槻、行こう。そう声を掛けて
歩き出す。
我に返った玲は
前を行く樋野の後を追った。
2人の姿が階段の向こうに
消えるまで櫂斗はじっとそちらを
見ていた。
そうして俯いたままの棗に
視線を落とす。
「…ここに君を置いておくのは
心配だな」
櫂斗は棗を抱き竦めた。
驚いて棗は顔を上げる。
腕で櫂斗の身体を押しながら
抵抗した。
「やめてください!こんな所で」
櫂斗はふっと笑って
棗の耳元に顔を寄せる。
じゃぁ、移動しようかと囁いた。
櫂斗に手を掴まれ引きずられる
ようにして来たばかりの学校の
玄関を出る。
登校中の生徒の波に逆らって
櫂斗は棗を裏門の方へと
連れて行く。
人目が気になって棗は
声を上げることもできなかった。
感じながら玲が早く
通り過ぎることを棗は願った。
ピリピリした空気が息苦しい。
重い沈黙を破ったのは
樋野だった。
高槻、行こう。そう声を掛けて
歩き出す。
我に返った玲は
前を行く樋野の後を追った。
2人の姿が階段の向こうに
消えるまで櫂斗はじっとそちらを
見ていた。
そうして俯いたままの棗に
視線を落とす。
「…ここに君を置いておくのは
心配だな」
櫂斗は棗を抱き竦めた。
驚いて棗は顔を上げる。
腕で櫂斗の身体を押しながら
抵抗した。
「やめてください!こんな所で」
櫂斗はふっと笑って
棗の耳元に顔を寄せる。
じゃぁ、移動しようかと囁いた。
櫂斗に手を掴まれ引きずられる
ようにして来たばかりの学校の
玄関を出る。
登校中の生徒の波に逆らって
櫂斗は棗を裏門の方へと
連れて行く。
人目が気になって棗は
声を上げることもできなかった。



