君の瞳に映る色

「わたしは詠崎凛子と言います。
何か困った事がありましたら
内線でお呼びください」

そう言うと凛子は部屋を
出て行った。


棗は溜め息を吐くと
引かれたカーテンを開けた。
西からの強い日差しが
部屋を赤く染める。

窓の外は入り口で見た庭園の
ようで、アーチ状に
綺麗に刈られた植木の入り口の
奥は色とりどりのバラの花が
咲いていた。

ぼんやり眺めているとティアラが
ゲージをガリガリ掻いた。
慌ててゲージから出してやると
伸びをする。

翳っていく太陽を見ながら
棗は深い溜め息を吐いた。



櫂斗は仕事のようで食事の
時間にも戻らなかった。
いつ戻るか聞いてもきちんとした
答えをもらえずベッドに入っても
落ち着かなかった。

廊下を誰かの足音が
聞こえるたびに目を覚ます。

大きなベッドの端にうずくまって
棗は眠れない夜を過ごした。