君の瞳に映る色

瑠璃の言葉に棗は顔をしかめた。

「今見てもあなたへの色は
見えないわよ。さぁ、行って」

そんなぁ、と情けない声を
出しながら瑠璃は無理やり棗に
倉庫の陰から押し出された。

いきなり飛び出してきた瑠璃に
樋野と仲間は視線を移した。

ただでさえろくに話もできない
状態なのに、どうしていいか
わからず瑠璃は完全に
固まってしまった。

そんな瑠璃の緊張など全く
気付かず樋野は呑気に
何してるの?と聞く。

瑠璃は壊れた機械のように、
あー、とか、う―、とか
繰り返している。

棗はその様子をじっと見ながら
イライラした。
緊張しすぎよ、思わず
声に出して呟く。

瑠璃の緊張の色があまりに
はっきり見えすぎて樋野の色が
ほとんど見えなかった。

それでも何とか見るために
目を閉じて樋野の色に
集中しようとする。
微かに見える色に神経を
集中させていた棗は、背後から
突然肩を叩かれ悲鳴を上げた。