誰かを思って自分を見失うこと
なんて想像がつかない。
必死になったり、真剣になったり
それが自分の為じゃなく
赤の他人の為だなんて。
ぼんやりと遠くを眺める棗を
瑠璃は見つめた。
棗の隣に腰掛け様子を窺う。
「西園寺さんは好きな人は
いないんですか?」
思いきって聞くと、棗は
瑠璃に少し視線を向け
また遠くの緑を眺めた。
「いないわよ。…婚約者なら
いるけど」
「好きでもない人と
婚約してるんですか?!」
思わず声を荒げた瑠璃に
棗は苦笑いした。
「政略結婚なんてそんなものよ」
自分に言い聞かせるように
棗は言った。
今日の夜は母が帰ってくる。
逃げてばかりはいられない、
話をしなくては、と考えながらも
少し憂鬱な気分になった。
表情の曇った棗を瑠璃は
心配そうに見た。
想像のつかない世界だが、単純に
好きな人意外と結婚するなんて
自分は無理だと瑠璃は思う。
瑠璃も深刻な気分で俯いたが、
しばらくして口を開いた。
「好きになればいいんですよ」
言って棗の方を見ると棗も
こちらを見ていた。
視線がまともに合って瑠璃は少し
うろたえる。
なんて想像がつかない。
必死になったり、真剣になったり
それが自分の為じゃなく
赤の他人の為だなんて。
ぼんやりと遠くを眺める棗を
瑠璃は見つめた。
棗の隣に腰掛け様子を窺う。
「西園寺さんは好きな人は
いないんですか?」
思いきって聞くと、棗は
瑠璃に少し視線を向け
また遠くの緑を眺めた。
「いないわよ。…婚約者なら
いるけど」
「好きでもない人と
婚約してるんですか?!」
思わず声を荒げた瑠璃に
棗は苦笑いした。
「政略結婚なんてそんなものよ」
自分に言い聞かせるように
棗は言った。
今日の夜は母が帰ってくる。
逃げてばかりはいられない、
話をしなくては、と考えながらも
少し憂鬱な気分になった。
表情の曇った棗を瑠璃は
心配そうに見た。
想像のつかない世界だが、単純に
好きな人意外と結婚するなんて
自分は無理だと瑠璃は思う。
瑠璃も深刻な気分で俯いたが、
しばらくして口を開いた。
「好きになればいいんですよ」
言って棗の方を見ると棗も
こちらを見ていた。
視線がまともに合って瑠璃は少し
うろたえる。



