苛立ちながら棗は自分の
席に着いた。
玲はまだ来ていないのかどこかで
食事でもしているのか
席にはいなかった。
溜息を吐いて棗は目を伏せる。
すごく悲しい気分だった。
人の気配がして棗は顔を上げた。
見上げた先にいる樋野は少し
心配そうに自分を見つめている。
まだ体調悪いの?と聞いた。
自分のことを拘束して玲の
ところに連れて行った樋野に
心配されるのは違和感を覚える。
樋野にとっては記憶のない
事なので仕方がないのだが。
棗は事務的に礼を伝えた。
他に話題もなく会話が途切れたが
樋野は去ろうとしない。
顔をしかめて樋野を見上げると
唐突に沼淵に会った?と言った。
棗が黙っていると樋野は、
「ずっと付き添ってすごい
心配してたからさ」
と話す。
「顔見せてやれば?喜ぶよ」
言い終えると樋野は
自分の席へ戻って行った。
その姿を目で追いながら棗は
朝の事を思い出した。
感情の色を見たところで
どう思っているかなんて
はっきりは分からない。
断わるならもっときちんと
言い方があった。
頭に手を当てて棗は目を伏せた。
深く息を吐き出す。
しばらく無言で考えていたが
おもむろに席を立った。
横目で教室の時計を見る。
始業まではまだ少し
時間があった。
席に着いた。
玲はまだ来ていないのかどこかで
食事でもしているのか
席にはいなかった。
溜息を吐いて棗は目を伏せる。
すごく悲しい気分だった。
人の気配がして棗は顔を上げた。
見上げた先にいる樋野は少し
心配そうに自分を見つめている。
まだ体調悪いの?と聞いた。
自分のことを拘束して玲の
ところに連れて行った樋野に
心配されるのは違和感を覚える。
樋野にとっては記憶のない
事なので仕方がないのだが。
棗は事務的に礼を伝えた。
他に話題もなく会話が途切れたが
樋野は去ろうとしない。
顔をしかめて樋野を見上げると
唐突に沼淵に会った?と言った。
棗が黙っていると樋野は、
「ずっと付き添ってすごい
心配してたからさ」
と話す。
「顔見せてやれば?喜ぶよ」
言い終えると樋野は
自分の席へ戻って行った。
その姿を目で追いながら棗は
朝の事を思い出した。
感情の色を見たところで
どう思っているかなんて
はっきりは分からない。
断わるならもっときちんと
言い方があった。
頭に手を当てて棗は目を伏せた。
深く息を吐き出す。
しばらく無言で考えていたが
おもむろに席を立った。
横目で教室の時計を見る。
始業まではまだ少し
時間があった。



