『早くよくなれよ、お嬢様』
夢見心地に耳元で聞いた声を
棗は思い出した。
何よこれ…、そう呟きながらも
棗の顔に自然と笑顔が浮かんだ。
柊の勧めもあって1日棗は
休養をとった。
次の日は菖蒲が家に戻ると
いうのでまだ身体はダルイものの
登校することにした。
車から降りて歩いていると
瑠璃に声を掛けられた。
自然に棗も瑠璃に挨拶を返す。
元気な様子の棗に瑠璃は
自分のことのように嬉しくなる。
「あの時、樋野君がいたの
覚えてます?」
唐突に瑠璃に言われて
すぐには思い出せなかった。
何となく顔を見たかも、という
程度しか覚えていない。
「彼がどうかした?」
棗は問いかけると、あの、と
瑠璃は言葉を詰まらせる。
瑠璃が足を止めたので
棗も自然と足を止めた。
少し瑠璃は言うのを迷っていたが
やがて遠慮がちに、お願いが
あるんです、と言った。
何?と聞くと瑠璃は俯いていたが
顔を上げると棗をまっすぐ見た。
「樋野くんがわたしを
どう思ってるか色を
見てほしいんです!」
瑠璃の言葉に棗は目を丸くする。
そんなことを言われたのは
初めてだった。
だが同時に胸の中に何か
もやもやするものが
込み上げるのを棗は感じた。
夢見心地に耳元で聞いた声を
棗は思い出した。
何よこれ…、そう呟きながらも
棗の顔に自然と笑顔が浮かんだ。
柊の勧めもあって1日棗は
休養をとった。
次の日は菖蒲が家に戻ると
いうのでまだ身体はダルイものの
登校することにした。
車から降りて歩いていると
瑠璃に声を掛けられた。
自然に棗も瑠璃に挨拶を返す。
元気な様子の棗に瑠璃は
自分のことのように嬉しくなる。
「あの時、樋野君がいたの
覚えてます?」
唐突に瑠璃に言われて
すぐには思い出せなかった。
何となく顔を見たかも、という
程度しか覚えていない。
「彼がどうかした?」
棗は問いかけると、あの、と
瑠璃は言葉を詰まらせる。
瑠璃が足を止めたので
棗も自然と足を止めた。
少し瑠璃は言うのを迷っていたが
やがて遠慮がちに、お願いが
あるんです、と言った。
何?と聞くと瑠璃は俯いていたが
顔を上げると棗をまっすぐ見た。
「樋野くんがわたしを
どう思ってるか色を
見てほしいんです!」
瑠璃の言葉に棗は目を丸くする。
そんなことを言われたのは
初めてだった。
だが同時に胸の中に何か
もやもやするものが
込み上げるのを棗は感じた。



