君の瞳に映る色

まともに視線がぶつかって瑠璃は
視線を逸らすのをためらった。

かと言ってじっと見ていると
心臓が破裂しそうだった。

「…ありがとう」

思わず出た言葉がそれだった。
樋野は苦笑いして何が?と聞く。

少し日に焼けた肌と笑顔が青空の
下でさらにカッコよく思えた。
耐えきれずに瑠璃は視線を
前に戻して俯いた。

俯いてばかりの自分を樋野が
気遣ってくれたのがわかるのに
なんでもっと気の利いたことが
言えないんだろう。

2人で並んで歩ける状況に幸せを
感じれば感じるほど
うまく話すことのできない自分に
気分は落ち込んだ。