ようやく戻ってきた蘭は、迎えが
来るみたいと2人に伝えた。
唯一の男である樋野が
棗を抱えて校門まで連れて
いくことになった。
蘭は手続きがあるとかで
保健室に残り瑠璃と樋野は車が
着く頃を見計らって外に出る。
校門前には黒塗りの大きい車と
執事が立っていた。
恭しく頭を下げる柊に樋野は
別世界の出来事のように感じた。
大丈夫ですか?と言いながら
瑠璃は後部座席に寝かせた棗に
保健室から借りてきた
毛布をかける。
意識が戻ったのか棗は虚ろな瞳を
瑠璃に向けた。
「しっかり休めばすぐに
よくなりますよ」
瑠璃は笑顔で棗の手を握った。
その温かい笑顔に棗も弱々しいが
笑顔を返す。
樋野は棗の笑顔を意外な
気持ちで見ていた。
同じクラスなので何度か棗の顔を
見たがいつも無表情で
きついイメージだった。
車を見送っても瑠璃はまだ車の
去った方向を見つめていた。
行こうと促すとようやく瑠璃も
歩き出す。
俯いたままの瑠璃に、ただの
風邪なんだからすぐ治るよ、
と言った。
瑠璃が自分を振り仰いだので
樋野も思わず視線を向けると
まともに目があう。
瞳の大きい子だ、頭のどこかで
樋野は考えた。
来るみたいと2人に伝えた。
唯一の男である樋野が
棗を抱えて校門まで連れて
いくことになった。
蘭は手続きがあるとかで
保健室に残り瑠璃と樋野は車が
着く頃を見計らって外に出る。
校門前には黒塗りの大きい車と
執事が立っていた。
恭しく頭を下げる柊に樋野は
別世界の出来事のように感じた。
大丈夫ですか?と言いながら
瑠璃は後部座席に寝かせた棗に
保健室から借りてきた
毛布をかける。
意識が戻ったのか棗は虚ろな瞳を
瑠璃に向けた。
「しっかり休めばすぐに
よくなりますよ」
瑠璃は笑顔で棗の手を握った。
その温かい笑顔に棗も弱々しいが
笑顔を返す。
樋野は棗の笑顔を意外な
気持ちで見ていた。
同じクラスなので何度か棗の顔を
見たがいつも無表情で
きついイメージだった。
車を見送っても瑠璃はまだ車の
去った方向を見つめていた。
行こうと促すとようやく瑠璃も
歩き出す。
俯いたままの瑠璃に、ただの
風邪なんだからすぐ治るよ、
と言った。
瑠璃が自分を振り仰いだので
樋野も思わず視線を向けると
まともに目があう。
瞳の大きい子だ、頭のどこかで
樋野は考えた。



