高校の中をいろいろと案内されたけど、あたしはどこか上の空だった。

先輩はキレイになっていた。

キレイで明るくて優しい。

とても人気のある先輩だった。

だから…あたしも恋したんだけどね。

この二年…忘れるのに必死だった。

勉強に友達付き合いに一生懸命になったおかげで、県でも有名進学校に推薦で入れた。

なのにっ! …リサーチ不足だった。

せめて先輩がどこの高校に通っているかぐらい、前以て調べておけばよかった。

「今日、新入生代表で挨拶してたわよね?」

「えっええ。あっ、見てました?」

「うん、もちろん! 体育館の隅の方で」