動揺しすぎていたせいか、後先考えずに勢いで言ってしまった。


ずっと気になっていて聞けなかったことを聞いてしまった。



先生は驚いた顔をしていた。

でもそれはすぐに困っているような表情に変わった。




「すみません。気にしないで下さい。失礼します!」

私は軽率な発言に謝罪をして、数学研究室から飛び出した。




先生の表情から、絶対に触れてはいけない部分に触れてしまった気がして、後悔した。






その日は珍しく、ヴァイオリンを弾いても集中できなかった。