放課後、緊張しながら数学研究室へ向かった。



コンコンとノックをすると、

「どうぞ」

と中から声がした。


気持ちを落ち着かせて、扉をゆっくりと開ける。



「失礼します」

と言って中へ入った。



工藤先生は座っていて、彼の机の上はきれいに片付いていた。

緊張していたにもかかわらず、そんな机を先生らしいと思う余裕まであった。

何を言われるんだろうと思って立っていると

「そこのソファに座ってて」

と微笑んで、奥へ姿を消した。



しばらくすると、先生はマグカップを2つ持って現れた。


「どうぞ」

とマグカップを1つ、私の前に置く。


「あ、ありがとうございます」

コーヒーが出ることは予想外だった。