しかしそれはどうでも良いこと、結果は同じ。
 
記録をつけているから、あの女子生徒の名前も担任もわかるが、別段報告しようという気にもならない。


「担任に報告してみる?」
 
表情を読んだのか、芹が聞いてくるが律は首を横に振った。


「未遂だもの。思春期の気の迷いよ」

「じゃあ、挿れてたら報告した?」
 
艶っぽいという言葉がぴったりな笑みを浮かべながら再び尋ねてくる芹に、律はため息を漏らす。


「共犯ならば考えるわ。貴方が弄んだだけなら、女子生徒は被害者だもの、報告しない」
 
その答えに芹はふーんと納得をしたような表情を見せながら、更に口角を引き上げた。


「後者だからどっちにしろ報告無し、か。ならもっと早くやってしまえば良かった」

「残念ね、私は十分以上退室するときはほとんどないの。人がいれば尚更だし、誰もいなくて出て行くなら施錠するし。十分じゃ、短いでしょう? 特技を披露していたらあっという間ね」

 
わざと調子付いたように言う芹の言葉も、律の嫌味には敵わない。

笑顔が一気に消え、大きなため息と共に立ち上がる。
 

それを相変わらずの冷たい視線で見送りながら、律はデスクの引き出しを開けた。
 
芹は先程までいたベッドから自分のブレザーを手にして袖を通している。