その写真は先生だ。

 
直感的にそう思ったものの、その写真の首筋に見覚えのある黒子を見つけ、確信した。
 
律を押し倒したときに見たその黒子がどこか印象的で、芹の記憶に残っている。


「そっかなぁ。でもこんなことしてそうだよな、あの先生」

「あー、確かに。エロいからな」

「色んな噂もあるし」
 

芹の否定も虚しく、男子生徒たちは自分の思ったことを次々と口にしてゆく。
 

それを半分聞き流しながしているものの、芹は頭の中がかき回されているような気分になってきた。


「あ、噂と言えばさ、こないだもあったよ」
 
男子生徒の一人が思い出したように膝を叩き、みんなの顔を見渡した。


「保健室のゴミ箱からさ、コンドームが出てきたんだって」
 

初めて聞く話に、芹の頭は激しく揺さぶられた。


「え、マジ?」

「マジだって、こないだ先生たちが話してんの聞いたんだ。しかも使用済みだったって話」

「マジかよ。ってことはついにお役御免か?」
 

その言葉に、周りの男子生徒がどっとどよめく。
 
だが誰も困惑した顔はしていない。

 

皆、楽しそうに、卑しい笑みを浮かべていた。