保健室アイロニー[短篇]

「悪い」
 

沈黙を破ったのは芹だった。
 
律から顔を反らし、少しだけ俯いて呟くように言う。


律はそれに答えず、向きを変えて渡り廊下に戻った。
 

屋根のあるところまで足を進めたところで、立ち止まり額の雨を手で押さえる。


「行くわよ」

 
振り向かずにそれだけ言うと、芹の返事も聞かず、確認もせず保健室へと足を進めた。